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週刊「ナビィ、の部屋」第43号

お薦め本



お薦め本
 今回はナビィのお薦め本。
 相変わらず読書はお風呂の中なので、新しく買った本もすぐしわしわ〜〜〜〜
 そういえば、前回のお薦め本だった『雪のひとひら』 何人かの方から感想をいただきました。時間も場所も違うけど、同じ何かを『雪のひとひら』によって共有出来たのね〜と思うとなんだか嬉しいわ。

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『琉球と琉球の人々』〜琉球王国訪問記(1850年10月)〜
原著 ジョージ.スミス
訳 山口栄鉄 新川右好 
 沖縄タイムス社

 この本はかな〜〜〜り嫌な感じです。
 何度か本をひっちゃぶりたくなりました。
 そんなもん薦めるな???

 かって「イギリス海軍琉球伝道会」という結社から布教のため、琉球国に派遣された宣教師『ベッテルハイム』が琉球政府からの不当な扱いを嘆き、その結社に「自分のこの国での布教は困難極まりないので、助けてくれ〜」と親書を組織に出した。
 それを受けて、その不当な扱いをどうにか改める様に琉球政府に要請するためにこのジョージ.スミスっておっちゃんが、レイナード号に乗って琉球にやって来た。その訪問記。

 この頃の琉球は『琉球王国』という体制は保ってるものの、薩摩藩に支配され、顔色見ながらの外交が行われていた時代で、実は、この宣教師だの、イギリス海軍伝道会、などやって来られても、鎖国してる薩摩藩を出し抜いて外交できるはずもなく、迷惑千万。ものすごく困惑してたんだはず。口八丁手八丁で、どうにかこうにかベッテルハイム共々、追い返そうしてる。

 でも「キリスト教は世界中の民に必要」と信じるこやつらは、一向にこたえない。

 こういう人達の琉球人を見るまなざしって「非文明的で無教養で貧しい人々、こういう可哀想な人達はキリスト教の偉大さが分からない、だから頑張って教えてあげなくては、、、、、」ってそういうのなんだよね。
 でも、それってどっかで聞いた様なセリフ、、、、
 「自由と民主主義のない国に、我らがそれを与えてやらなくては」
ってイラクを攻撃した国ってどこでしたっけ?

 そういう体質って少なくとも200年以上の歴史があるのね、って事がよ〜〜〜〜く分かりました。

 でも、苦肉の策ではあったんだろうけど、琉球政府の「のらりくらり外交」とでも言うべき外交術は今の日本政府、沖縄県も見習った方がいいのと違う???

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『野菜いっぱい 大地の食卓』
著 鶴田静 
写真 エドワード.レビンソン
知恵の森文庫

 これは、料理の本。
 でも、レシピの間に「地球の上で生きる」という事について書かれたエッセイが本当に素敵。
 日頃、なんとなく想ってる事や考えてる事だけど上手く言葉に出来ない事が、ものすごくさらっと、優しい言葉で綴られているのよ。

 鶴田さんとエドワードさんは御夫婦で、二人で房総半島の農村地帯に住んで自給自足の生活をされていて、「田園に暮らす」っていう本も出ていて、立読みしただけなんだけど?素敵な本だったよ。

 「食べる」って本当に大切な事よね。
 自分の身体を動かすために、脳を動かすために、誰もが口に食べ物を入れるけど、「善く動かす」ためには、やっぱり「善い食べ物」を口にいれないとね、って思うんだ。
 感情が乱れる時は、たいてい食生活が乱れてるなーと思うし、誰かとゆっくり美味しく食べてる時って大御馳走じゃなくても、それだけで幸せでしょ。
 だから、「何をどう食べるか」ってすごく重要な事だと思うのよね。

 野菜もお米も魚もお肉も果物も水も、空気、水、土が汚染してる所では「善いもの」は育たないから、環境を良くする事もすごく大切。
 ひとりの人間が善い暮らしをしようと思ったら、自分の生きてる環境を善くしていかないとね、って事だと思う。
 ひとりの命と地球も他の生き物の命も密接に繋がってるんだよね。

 ちなみにレシピで試したのはまだひとつ、、へへへ〜〜
 『やまいもとれんこんの中華風揚げ煮』
 美味しかったよ〜〜〜ん。

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『なにも願わない手を合わせる』
著 藤原新也 
東京書籍

 大好きな藤原さんの久々の新刊(っていっても夏頃に出てました)
 これは借り物なのでお風呂では読まず、もっぱら電車の中で読んでいたんだけど、何度か涙がほろっと、、、、来ました。

 ず〜〜〜〜〜〜っと、藤原さんのテーマだった『死』
 肉親、同級生、兄など、近しい人達の死を得て、旅をし、受け入れ難い愛するものの死を受け入れてゆく様があまりに淡々と書かれていて、それが生々しく感じられ、大袈裟かもしれないけど、自分自身に突き付けられた『死』を感じてしまい、どういう種の涙か分からないけど、妙に泣けるのだった。

 どんとさんが亡くなった一年後くらいに、那覇で偶然、妻のさちほさんに会った時、「全部意味のある事だと思うようになった。出会った事も彼の死も」という様な事を言っていた。
 忘れる事など、ない。
 彼女なりの納得の仕方で、愛する者の死を乗り越えたのだと思った。

 出会って、沢山の時間、風景、想いを共有して、こんな風に繋がりを持っても、いつかは、誰もがひとりで死んでゆく、愛する者との別離を想像すると本当に怖くなる。
 でも、現実の世界ではどうにかして人はその哀しみや苦しみ、受け入れ難さを乗り越えてゆくものだ。
 自分が生きるために、、、、

 『死』以外のテーマで書かれたものも沢山あって、藤原さんの得意な社会現象や事件の分析も相変わらず独特で、浜崎あゆみについて書かれた文章も藤原さんらしい視点で書かれていて、とっても面白い。
 個人の心の在り方が、社会の在り方、現象を作り出す、ってうちもそう思うので、かなり共感しました。
 写真も相変わらず良いです。
 お薦めでございます。

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ではまた。ライブでね〜〜〜〜


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